ネジバナ(捩花)とは?特徴や花言葉、育て方までわかりやすく解説

皆様はネジバナ(捩花)とい花を知っていますか?実は野原や道の脇にもよく見られる野草なのですが、以外と知られていない植物かもしれません。今回はそんなネジバナってどんな花だろう?と思われている方に向けて、特徴や花言葉、育て方など詳しく解説していきたいと思います。ネジバナに興味のある方、これから育ててみようと考えている方は是非ご覧ください。


・ネジバナ(捩花)とは?

ネジバナの基本情報をご紹介いたします。

植物名/ネジバナ

学名/Spiranthes sinensis var. amoena

英名/Screw flower, Lady's tresse

科名・属名/ラン科ネジバナ属

別名/綟摺(モジズリ)、ネジリバナ

原産地/日本各地~アジア、中国


ネジバナ(捩花)は日本に自生する原種のランです。道端や芝生の中に生えていることが多いので雑草として扱われてしまうことがほとんどなのですが、野生の原種のランということもあり愛好家にも好まれています。らせん状についた花は特徴的で美しいですよね。花が捩じったように咲くのでネジバナやネジリバナと呼ばれています。


・ネジバナ(捩花)の特徴

園芸分類

山野草、ラン、多年草

草丈

15~40㎝

耐寒性

ある程度耐える。霜が降りる時は要注意。

耐暑性

ある。

花色

ピンク、白

開花時期

6~7月


ネジバナはその名前が表すとおりに、花がらせん状に捩じれながら付いているのが大きな特徴です。この花の巻き方は実は一定ではなく、花によって個体差があり右巻きのものもあれば左巻きのものもあります。中にはねじれ方が途中で変わっているもの、捩じれていないものもあるのです。個性的な咲き方も、更に個体差があって面白いですよね。

日当たりの良い少し湿った場所を好み、草丈の低い植物の多い野原などに自生しています。芝生の中から他の雑草と一緒に生えているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか?雑草と呼ばれることが多いですが、花を見ると一つ一つのお花はしっかりランの形をしていて綺麗です。

またネジバナの葉は季節によって形が変わるのも特徴です。夏葉と冬葉というものがあり、夏葉が細長く上に伸びる形をしているのに対し、冬葉は地面にくっつくように放射状に広がり短く丸い形をしています。どちらかの葉が出ている時にはもう一つの葉は枯れてしまいますが、このサイクルのおかげでネジバナは一年中地上部が枯れることがありません。


・ネジバナ(捩花)の花言葉

ネジバナには「思慕」という花言葉があります。「思慕」とは思い慕うこと、恋しく思うこと、という意味です。この花言葉がついた由来は万葉集といわれています。「芝付の 御宇良崎なる 根都古草 逢ひ見ずあらば 吾恋ひめやも」の根都古草(ねつこぐさ)がネジバナと言われているのです。この歌の意味はまさに「思慕」といったように恋に心が痛む様子が詠われています。「あなたに出会わなければこんなに恋で心が苦しくなることがあっただろうか」このような意味になります。昔の人は捩じれた花の様子が恋の苦しみに苛まれる心のように見えたのかもしれませんね。


・ネジバナ(捩花)の種類

ネジバナは一般的には「ネジバナ」という花が一般的ですが、中には種類の違うものもあり、その土地にしかないものもあります。以下では数種類のネジバナをご紹介致します。


□ヤクシマネジバナ(屋久島捩花)

ヤクシマネジバナ(ヤクシマモジズリ)は鹿児島県屋久島に自生している品種です。通常のネジバナを小型にしたような草姿ですが、大きさが違う以外ではネジバナとほぼ同じ姿をしています。5~10㎝と非常に小型で可愛らしいです。


□アキネジバナ(秋捩花)

アキネジバナは通常のネジバナが春から梅雨時期に咲くのに対し、夏以降の秋時期に花が咲きます。開花時期が違う以外では特に草姿などに差異は見られません。強いて違いを言うならば、山地のやや日陰の場所でも見られることがあるということです。


□ナンゴクネジバナ(南国捩花)

ナンゴクネジバナは伊豆諸島と奄美大島以南に分布するネジバナです。通常のネジバナよりも少し早い3~5月に開花します。草姿や花はよく似ていますが、茎や花が無毛なのが違いです。


・ネジバナ(捩花)の栽培時期

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

開花期

植付け

肥料

播種


・ネジバナ(捩花)の育て方

ここからはネジバナを育てたいと思っている方に向けて、ネジバナの育て方について詳しく解説していきたいと思います。


□栽培環境

ネジバナは年間を通して日なたを好む植物です。ただ夏には30~40%の遮光をしてあげても良いでしょう。半日陰でも育つのですが、花が少し徒長した頼りない草姿になってしまうことがあります。また冬の寒さにもある程度耐えられますが、霜が降りるような際には根が弱ってしまう恐れがありますのでマルチングなどで冷えを防ぐと良いでしょう。

日の当たる湿った場所が好きなので、土は水もちの良いものを選びましょう。山野草専用の用土でも問題ありません。水が切れないようにすることが大切です。


□水やり

ネジバナは湿り気を好む植物です。雨が降らない限りは一日一回お水やりをしましょう。ネジバナの開花時期は梅雨時期になりますので、根が安定している場合は雨に任せても大丈夫です。ネジバナは冬場でも表土が乾いていたらたっぷりと水やりをします。冬場に水やりを必要とする植物はあまり多くないのですが、ネジバナの場合は冬場も乾燥には要注意です。

鉢植えの場合は、地植えよりも乾燥しますので、二重鉢や受け皿に砂利を敷き水を張って乾燥するのを防ぎます。


□肥料

基本的には無肥料でもよく育ちます。草物盆栽に仕立てる場合は肥料を施さずに育てていきましょう。花後に肥料を与えても良いのですが、与え過ぎると大きくなりすぎてしまうので注意が必要です。生育を見て肥料が必要と感じる場合には、4~5月にNPKが同じ分量の肥料をひとつまみ、もしくは涼しくなってくる10月頃にリン酸主体の緩効性の肥料を一つまみ少量まきます。

雑草として扱われることもありますので、肥料について神経質になる必要はありません。


□植え付け・植え替え

ネジバナの植え替えは年に一回のペースで行います。春か秋が適期です。太い根を傷つけると弱りやすくなりますので注意します。植え付け・植え替え後はたっぷりとお水やりをすることを忘れずにお願い致します。やや詰め気味に植えると群生したように花が咲き見栄えがします。


□増やし方

ネジバナは株分けと実生で増やすことができます。

■株分け

夏の終わり頃に新芽を1~3本ほどつけて既存の茎は5本程度つくことを目安に株を分けます。引き千切ったりハサミを使ったりせずに、自然に分かれるところを軽く引っ張って分けていきます。

■実生(種まき)

ネジバナの種は花の咲き終わった後にできるので、7~8月に種を採取します。ネジバナは開花してから種がこぼれるまでの期間が一か月以内と短いので、種を採取する場合は花が終わったことを確認する必要があります。地植えでしたらそのままこぼれ種で増えることもあります。親株の根元にまくか、湿地性のランを植えている鉢にまくとよく発芽します。発芽するためにはランの根などについている菌の助けが必要になるためです。

多くは半年ぐらいで目に見えるような大きさに育ち、2~3年で開花します。


・ネジバナ(捩花)を育てる際の注意点

ここからはネジバナを育てる際の注意点についてまとめていきます。病害虫を知っておくと対策もできますので、是非参考にしてください。


□病気

ネジバナが病気にかかるというのは稀ですが、ウイルス病によって葉が歪んでしまったり、まだら模様になってしまったりすることがあります。そうなってしまうと徐々に生育が衰えやがて枯れてしまいます。治療することができないので、そういった症状が出てしまった場合は他の株が感染する前に株ごと処分します。


□害虫

アブラムシ:春先~夏にかけてアブラムシが発生することがあります。新芽や花穂の汁を吸ってしまうのと、ウイルス病を媒介する可能性があります。見つけ次第薬剤を散布して駆除しましょう。

ナメクジ、カタツムリ:新芽を食害します。見つけ次第駆除しましょう。


ここまでネジバナ(捩花)についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?雑草として見たことがある方も、見たことが無かった方もこの記事でネジバナの魅力が伝わったのではないでしょうか?野生の小型のランでネジバナは愛好家の方にも多く愛されています。野草の趣がありながらも、ランの気品がどこか感じられる美しい植物です。

育て方のポイントとしては、

・水を切らさない

・年間を通して日なたで育てる

など、今回この記事で紹介した育て方を参考にして是非栽培してみてくださいね。

近江庭園オンラインショップではネジバナも取り扱っております。是非近江庭園のページもご覧ください。

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