日陰で育てられる宿根草17選 シェードガーデンの作り方や栽培の注意点なども解説

家で素敵なガーデニングを楽しみたい、たくさんのお花を育てたいと思っても、家には日当たりの良い場所がない。そんな場合どうしたらよいのか、お困りの方もいらっしゃると思います。この記事では日陰で栽培できる宿根草について解説し、具体的にどんな宿根草が育つのか紹介していきますので、是非参考になさってください。


・宿根草とは

宿根草とは、毎年花を咲かせる草花や球根植物のことです。多年草の一種で、生育に適さない時期になると、地上部が枯れるのが特徴です。地下に根が残っているので、翌年再び花を咲かせます。シェードガーデンなど、日陰の環境でも育てやすい種類が多く、植えっぱなしでも良いので手間が少なく楽しめます。シェードガーデンについては次で詳しく解説します。


・シェードガーデンについて

シェードガーデンとは日陰や半日陰につくるお庭のことをいいます。木陰や建物の陰になる場所、また北向きの場所につくるお庭のことです。日陰にもさまざまな種類があり、間接光もない日陰や木漏れ日などの差す明るい日陰などタイプ別に分けることができます。冬と春の日照時間の長さでも日陰が変わるので、自分の家のお庭がどんな日陰なのか調べてみてください。日陰タイプについてはまた後程詳しく解説いたします。


・シェードガーデンをつくる方法

シェードガーデンをつくるためには日陰や半日陰に適した植物を選んで植えることが大切です。日なたが好きな植物を植えてもうまくいきません。植物の性質を考えて植栽プランをつくりましょう。また、暗い印象になりがちな日陰ではカラーリーフや斑入りの植物が欠かせません。葉の色で全体の色味や明るさのバランスを取りましょう。


・日陰で育つ植物の特徴

日陰を好む植物を「陰性植物」といいます。概して葉は薄くて広く、弱い光でも光合成がしやすいのが特徴です。暑さや寒さにもある程度強い植物が多いので育てやすいですが、強光の下などに置くと葉が枯れてしまいます。成木であればツバキのように日陰でなくとも育てることもできますが、どの日陰に適した植物なのかを見ることが大切です。


・さまざまな日陰のタイプ

日陰、と一言に表しても、実は日陰にはさまざまなタイプがあります。自分の庭がどの日陰のタイプかを知ることによってより日陰で育てられる宿根草が育てやすくなります。これから詳しく解説していきます。


■ディープシェード|暗い日陰

日中は日が差さず、間接光もあまり期待できない暗い日陰のことです。花が咲くタイプの植物は花を付けず、植物の栽培には向かないタイプの日陰です。栽培できても美しい管理は至難の技になるでしょう。


■ハーフシェード|午前・午後日陰になる

建物の陰など午前10時ごろまでの午前中か午前10時から夕方までの数時間日が差す日陰のことです。一日中暗いというわけではありませんが、時間帯や季節によっては過酷な場所になる場合があります。


■ライトシェード|木陰など

落葉樹の下など木漏れ日が差し、周囲が開けていて間接光が差す日陰のことです。このタイプの日陰では育てられる植物の種類も多くなってきます。花のつく植物が普通に花をつけることができる程度です。


■ダンプシェード|湿った日陰

水辺の近くや暗い森の中の足元のような日陰のことです。あまり日が当たらず土は常に湿っている状態です。キノコや苔が生えやすく、生育できる植物が限られてしまうことがあります。湿り気の好きな植物を適切に選びましょう。


■ドライシェード|乾いた日陰

軒下や建物の下など、雨が当たらずにずっと乾いている日陰のことです。乾燥と日陰に強い植物を選びましょう。雨が当たらないので灌水には十分注意する必要があります。


・日陰で育つ宿根草の選び方

日陰で育つ宿根草を選ぶ時には、まずその宿根草に耐陰性があるかどうかを確認しましょう。元々日なたを好む宿根草は日陰での栽培に向いていないように、宿根草の性質を確認しておくと良いでしょう。また実際の栽培環境が上述したどの日陰のタイプなのかもよく確認してから宿根草選びを行うと、環境に適した宿根草と出会えます。



・日陰に向く宿根草10選

ここからは日陰でも育てることのできる宿根草を10種類紹介していきます。ご自宅の庭が日陰でもこれらの宿根草なら育つかもしれません。ぜひご参考にしてください。


アジュガ

□基本情報

科/属 シソ科/アジュガ属

開花期 4月~5月

原産地 アジア・ヨーロッパ


□特徴/育て方のポイント

アジュガは耐陰性のある常緑多年草で、ランナーを伸ばし匍匐しながら旺盛に増えていきます。寒さに強く丈夫なので育てやすいです。花期には直立した紫やピンクの花が美しく咲きます。葉の色も種類があり、シェードガーデンには欠かせない宿根草です。水やりは表土が乾いたらたっぷりあげます。冬も乾かさないように注意しましょう。

日陰には強いので、1時間程度の日照があればよく育ちます。日陰でも風通しと水はけのよい場所が良いでしょう。


アスチルベ

□基本情報

科/属 ユキノシタ科/アスチルベ属

開花期 5月~7月

原産地 日本、中国


□特徴/育て方のポイント

アスチルベは初夏に細長い花穂を出し、すらっとした立ち姿の宿根草です。日本の渓流沿いに自生している品種を中心に改良されたものなので、多湿に強く梅雨時期の雨に当たっても花が傷むことはありません。反対に乾燥には注意が必要です。シェードガーデンでは高さの出る宿根草として重宝されます。

明るい日陰を好みます。落葉樹の下や間接光のよく入る場所での栽培が適しています。夏の直射日光には弱いので注意しましょう。


イカリソウ

□基本情報

科/属 メギ科/イカリソウ属

開花期 4月~5月

原産地 日本、中国、地中海沿岸地域


□特徴/育て方のポイント

日本では山野草的な扱いをされることが多いですが、耐陰性と耐乾性を併せ持っているので育てやすいです。花の形が船の錨のように見えることからイカリソウと呼ばれるようになりました。花色は豊富で厳寒期には紅葉するものや常緑種のものもあり、品種が多く多用に楽しむことができます。

午前中のみ日照が当たる場所や、明るい日陰を好みます。水はけと水もちの両方がある土壌を好むので表土が乾いたらたっぷりと水やりを忘れずに。


ギボウシ

□基本情報

科/属 キジカクシ科/ギボウシ属

開花期 7月~8月

原産地 日本、東アジア諸国


□特徴/育て方のポイント

数多くの園芸品種があり、葉の色や花の色さまざまな姿を楽しめる宿根草です。日本の高温多湿な気候にはよく合い、手をかけずともスペースがあれば大きく立派に育てることができます。日本で自生する野生種の生育環境は種類によりさまざまです。

落葉樹の下などの明るい日陰を好みますが、緑葉系の品種や黄葉系の品種は直射日光下でもある程度なら耐えられます。肥沃な湿った土を好みます。


ケマンソウ

□基本情報

科/属 ケシ科/ケマンソウ属

開花期 4月~6月

原産地 中国、朝鮮半島


□特徴/育て方のポイント

春にハート形のピンクの花を連ねて咲く可愛らしい宿根草です。肥沃で湿り気のある土を好みます。暑くなってくると地上部が枯れ休眠状態に入りますが、この時期にも湿り気を保つようにしましょう。ボタンに似た葉の形も美しく、立ち姿が可憐です。

明るい日陰を好みますが、休眠期は日陰、開花期は日なたになるような落葉樹の下がベストです。芽出しの春先から休眠期に入るまでは表土が乾いたらたっぷりと水やりを。


シュウメイギク

□基本情報

科/属 キンポウゲ科/イチリンソウ属

開花期 9月~11月

原産地 中国


□特徴/育て方のポイント

シュウメイギクはアネモネに似た花を咲かせる日本の秋の植物です。半常緑性で大型になり、地下茎を伸ばしてどんどん大株になっていきます。

日なたでも育てることができますが、基本的には半日陰の場所が良く、午前中日光が当たる場所が良いです。夏には株元に直射日光が当たらないようにしましょう。乾燥を嫌うので水やりもこまめに。風通しが悪いとうどん粉病が発生することもあるので注意です。


ヒメシャガ

□基本情報

科/属 アヤメ科/アヤメ属

開花期 5月~6月

原産地 日本


□特徴/育て方のポイント

日本特産の多年草で、山地の森林にある岩場に自生しています。薄紫色のアヤメのような花を咲かせ、シャガと比較するとかなり小さく冬には地上部が枯れます。丈夫な性質で根茎を伸ばして増えていきます。

朝日の当たる明るい日陰が理想です。元々森林に自生する植物ですので、木の下など葉の陰になるところではよく育ちます。乾燥に弱いので極端な水切れには注意しましょう。


プルモナリア

□基本情報

科/属 ムラサキ科/プルモナリア属

開花期 3月~5月

原産地 ヨーロッパ


□特徴/育て方のポイント

斑入りの葉が美しく、早春から芽を出し花を咲かせます。花色も豊富でたくさん咲くのが特徴です。薬用のハーブとして化学薬品のなかった頃は肺の病気の治療薬として利用されてきました。

春先に日光が当たるとしっかりと斑の模様がはっきりと出るので、落葉樹下での栽培が理想です。湿り気を好むので水やりはしっかりとしましょう。明るい日陰を好みますが暗い日陰でも生育します。その場合花付きが悪くなるので注意しましょう。


ヘレボルス(クリスマスローズ)

□基本情報

科/属 キンポウゲ科/ヘレボルス属

開花期 1月~4月

原産地 ヨーロッパ、西アジア


□特徴/育て方のポイント

花の少ない冬の時期に花を咲かせる常緑の宿根草です。日本ではヘレボルス属をまとめてクリスマスローズと呼びますが本来のクリスマスローズは「ヘレボルス・ニゲル」のことを言います。花の種類が非常に豊富でさまざまな咲き方や色が楽しめます。

夏の間は休眠期に入っていますので、かなり暗い日陰でも耐えます。冬から初夏まではよく日の当たる落葉樹の下が好ましいですが、建物の陰や常緑樹の下でも生育できます。夏の休眠期には乾燥気味でも大丈夫です。


ホタルブクロ

□基本情報

科/属 キキョウ科/ホタルブクロ属

開花期 6月~7月

原産地 日本を含む東アジア


□特徴/育て方のポイント

各地の平地や産地に自生している野草です。釣鐘上の花が咲く姿はとても可憐でナチュラルな雰囲気を出します。細い地下茎を伸ばして増え、丈夫な性質です。

明るい半日陰~日なたを好みます。乾燥しすぎると翌年の芽が枯れてしまうことがあるので灌水には注意しましょう。昼以降から直射日光の当たる場所も避けてください。


・シェードガーデンの差し色に|半日陰で育てられる宿根草5選

薄暗い印象になりがちな日陰のお庭には、カラーリーフや鮮やかな色の植物を使用するとお庭の雰囲気が明るくなります。これから紹介する5種類は日陰でも鮮やかな植物です。ぜひ参考にしてみてください。



黄金フウチソウ

□基本情報

科/属 イネ科/ウラハグサ属

原産地 日本


□特徴/育て方のポイント

葉の付け根がねじれて葉の裏側が出ていることからウラハグサとも呼ばれます。明るい斑入りのものや黄色の葉のものがあり、日陰の庭には欠かせない存在の植物です。明るい日陰を好み、庭植えの場合はよほどの乾燥が無い限りは雨水だけでも十分なほど丈夫です。


ヒューケラ’ライムリッキー‘

□基本情報

科/属 ユキノシタ科/ヒューケラ属

開花期 5月~7月

原産地 北米、メキシコ


□特徴/育て方のポイント

フリルのような葉がコンパクトに茂り、葉色も豊富でカラーリーフプランツとして高い人気があります。常緑性でほぼ一年中同じ草姿なので通年楽しめます。ライムリッキーはさわやかな明るいライム色の葉が特徴です。

日なた~日陰とさまざまな環境に適応できますが、品種によっては夏の強い日差しで葉焼けしでしまうので明るい日陰や落葉樹の下が適しています。水が足りないと葉先から傷んでいくので水やりも注意して行いましょう。


丹那乳茸刺(タンナチダケサシ)

□基本情報

科/属 ユキノシタ科

開花期 6月~7月

原産地 朝鮮半島


□特徴/育て方のポイント

山地の渓谷や岩場に自生しています。穂状に咲く白い花が可憐で小さな草姿ですが強健です。春と秋は日なたで、夏は半日陰で管理すると良いです。落葉樹の下などが良いでしょう。鮮やかな緑色の葉が美しいです。



姫石蕗(ヒメツワブキ)

□基本情報

科/属 キク科/ツワブキ属

開花期 4月~5月

原産地 中国雲南省


□特徴/育て方のポイント

ツワブキを小型にしたような姿で、春に花を咲かせます。丈夫で育てやすいです。半日陰を好みます、日陰の中でも鮮やかな黄色の花が咲きますので、お庭の雰囲気を明るく彩ります。


台湾石化青根葛(タイワンセッカアオネカズラ)

□基本情報

科/属 ウラボシ科/エゾデンタ属


□特徴/育て方のポイント

ウラボシ科の着生植物、シダの仲間です。根茎が鮮やかな緑青色をしているのが特徴です。柔らかな葉と緑の根が美しい植物です。冬も葉が緑のままなので、一年中緑を楽しめます。

半日陰で直射日光を当てずに管理しましょう。多湿過ぎるのには注意し、表土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。


・日陰で宿根草を育てる際の注意点

ここまで日陰で育つ宿根草にについてご紹介してきましたが、皆様いかがでしたか?日陰で育つ宿根草は、日当たりの良い場所で育てられる植物と違って日陰下での管理方法があります。品種によっては乾燥や風通しの管理も必要です。日陰で育つ植物の特性を理解し、そしてそれを活かしてお庭づくりをしてみましょう。

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