秋海棠(シュウカイドウ)の上手な育て方|花言葉や注意点など合わせて紹介
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みなさまは秋海棠(シュウカイドウ)という植物をご存知でしょうか?シュウカイドウはベゴニアの仲間で秋にかけて開花する多年草です。薄桃色の花が秋を彩り、その素朴な姿は多くの人々に愛されてきました。
本記事では、シュウカイドウをご自宅で育ててみたいと思っている方に向けて、上手に育てるための基本(日当たりや水やりなど)について解説します。またシュウカイドウとはどんな植物なのかが分かる知識もたくさん紹介していきますので、是非参考にしてくださいね。
・秋海棠(シュウカイドウ)とは
まずはシュウカイドウとはどんな植物なのかご紹介いたします。基本的な特徴はもちろん、花言葉や名前の由来なども紹介していきます。
□シュウカイドウの主な特徴
シュウカイドウは江戸時代に中国から渡来した多年草です。日本の山野で多く見られるので日本の古来からの植物のように思われますが、中国からの帰化植物です。
うつむいて咲く桃色の花の控えめな美しさから文人たちに人気がありました。素朴な草姿と可憐な桃色の花は古くから人々の心を掴んでいたようです。
7月下旬~10月頃が開花時期で、秋の代表的な山野草としても親しまれています。基本は薄い桃色の花ですが、白い花や葉の裏が赤いものなどもあり秋の色を纏って季節の風景を彩ります。
シュウカイドウはよく夏に花壇苗として流通するベゴニアの仲間です。夏に見かけるベゴニアは一年草なのに対して、シュウカイドウは戸外で冬越しのできる数少ないベゴニアです。
□シュウカイドウの名前の由来
シュウカイドウの名前の由来は、海棠(カイドウ)というバラ科の植物に花の形が似ていることから、秋に咲くカイドウという意味でつけられたというものがあります。カイドウも桃色の花が本当に愛らしく、シュウカイドウの花の可愛らしさとそっくりなので是非見てみてください。
□シュウカイドウの花言葉
シュウカイドウにはいくつかの花言葉があります。下向きに控えめに咲く姿から「片思い」や「繊細」という花言葉があり、花が俯いているその姿はこの花言葉を連想しやすかったのではないでしょうか。またシュウカイドウの葉は左右非対称なハート形をしており、この葉の形からも「片思い」という花言葉が付けられています。反対にこの左右不揃いな形のせいでイギリスでは「不格好」という意味の花言葉を持つこともあるそうです。
・秋海棠(シュウカイドウ)の育て方カレンダー
・秋海棠(シュウカイドウ)の基本情報
ここからはシュウカイドウについて品種や植物の情報を詳しく解説していきたいと思います。是非参考にしてみてくださいね。
□シュウカイドウの詳細情報
学名:Begonia grandis
英名・和名:Hardy begonia・秋海棠(シュウカイドウ)
別名:瓔珞草(ヨウラクソウ)
科名・属名:シュウカイドウ科・シュウカイドウ属(ベゴニア属)
原産地:中国、マレー半島
園芸分類:草花
形態:多年草
草丈:30㎝~80㎝
花色:薄ピンク、白
開花期:7月下旬~10月中旬(地域によって異なる)
耐暑性・耐寒性:ともに強い ※特に耐寒性が強く日陰でも育つ
□シュウカイドウの種類
シュウカイドウには一般的な桃色の花を持つものの他に花の色が異なるものなどがあります。
白花秋海棠(シロバナシュウカイドウ)はシュウカイドウの白花品種です。性質は桃色のシュウカイドウと変わらず、より清楚な印象があります。シェードガーデンや茶花としての利用にもおすすめです。
裏紅秋海棠(ウラベニシュウカイドウ)は葉の裏が真っ赤に染まるシュウカイドウです。花の色は同じ桃色が咲きますが、葉の裏と茎も赤いので通常のシュウカイドウに比べると色が鮮やかでインパクトがあります。
同じシュウカイドウの仲間でも、花の色や葉の色が違うだけで趣が大きく変わるのが面白いですね。
・秋海棠(シュウカイドウ)の育て方のポイント
ここからはシュウカイドウの育て方についてポイントごとに詳しく解説していきたいと思います。これからシュウカイドウを育てようと思っている人は是非参考にしてみてくださいね。
□選び方
シュウカイドウの元気な苗の選び方は、草姿のしゃきっとしているものを選びましょう。株元の葉が腐っていたり、葉が黄ばんで傷んでいたりしていないかを確認してください。
□花の特徴、増え方の特徴
シュウカイドウはカイドウの花に似た桃色の花を咲かせます。下向きに咲くのでその草姿が俯いているような清楚な印象を与えます。その花が終わるとシュウカイドウはムカゴをつくります。ムカゴとは脇芽の一種で、養分を蓄えている豆のような塊のことを言います。このムカゴを播くことでシュウカイドウを増やすことができます。収穫したムカゴは翌春に芽吹きます。シュウカイドウは球根植物なので、年々球根が大きくなり株が成長していきます。
□日当たり・置き場所(育てるのに適した場所)
シュウカイドウは水分を好み、乾燥が苦手な植物です。湿り気の多い場所では良く育ちます。落葉樹の下などの半日陰の場所で育ててあげるのが良いでしょう。直射日光や西日の当たる場所は葉焼けを起こしてしまうことがあるので避けてください。また、強風の当たる場所も乾燥を招くので避けるようにしましょう。
□水やり
先述したように、シュウカイドウは乾燥が苦手で水分を好みます。湿り気の多い環境であれば地植えの場合は降雨のみでも問題ありません。よく乾いてしまう場所であれば表面が乾いていたらたっぷりと水をあげるようにしてください。鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷり水をあげるようにしましょう。
□用土
シュウカイドウは乾燥が苦手で水分を好む植物です。ですので、シュウカイドウに適した用土は保水性に優れているものが良いとされています。ですが、ただ保水が出来るだけでは根腐れなどを起こす原因になるので、同時に通気性と水はけの良い土を選びましょう。
腐葉土を多めにすき込んでおくと花が咲きやすい肥沃な土になります。赤玉土6:腐葉土3:軽石1などの配合で土づくりをしてみてください。
□肥料
シュウカイドウはあまり肥料を必要としない植物です。肥料を与え過ぎてしまうと、葉が肥大化し、美しい草姿が保てなくなってしまいます。
植え付け時に腐葉土をすき込むか、鉢植えの場合は緩効性肥料を与えるだけで良いでしょう。長年育て土が痩せてきてしまった場合は春か秋に腐葉土を与えてください。
□開花時期、収穫時期
シュウカイドウの花の開花時期は地域にもよりますが8月~10月の晩夏から秋に開花します。シュウカイドウを増やすために必要なムカゴは秋に葉腋についたものを収穫します。
ムカゴとは、脇芽の一種で、葉の付け根にできる多肉で球状の芽のことです。ムカゴには芽を育てるための栄養が入っており、これが土に落ちると根を出して新しい個体となります。
□増やし方
シュウカイドウの株自体は年々地中の球根が大きくなり株も大きくなっていきます。
増やし方は、ムカゴを播くか挿し木をするのが良いでしょう。
特にムカゴは前述したように収穫したものを培養土に薄く覆土しておくと春に目が出てきます。こぼれたムカゴが勝手に発芽することもあります。挿し木の場合は4月~6月頃に10㎝ほどの挿し穂をつくり清潔な土に挿しておきます。乾燥しないように水やりをして根が生えてきたら植えたい場所に植え付けて下さい。
□植え付け
シュウカイドウの植え付けは3月~4月の植物が動き始めるあたたかい時期にしましょう。ちょうど根を出すタイミングなので、土へよく馴染みます。植え付けの深さは球根が土に隠れる程度にし、あまり深植えしないようにしましょう。乾燥を嫌うため、株を触った植え付け後はたっぷりと水をあげるのが良いです。
□植え替え(鉢替え)
シュウカイドウは基本的に植え替えの必要はありません。庭植えで環境が適している場合は動かさなくても良いでしょう。
鉢植えの場合は、土が痩せてきた場合に行います。植え付けと同じ季節に植替えを行いましょう。緩効性肥料を加えて用土を変えて、植替えが終わったらたっぷりと水を与えましょう。
□夏・冬対策
シュウカイドウは基本的には暑さにも寒さにも強い植物なので、特別な対策は必要ありません。ですが、夏は直射日光が当たると葉焼けを起こしたり、乾燥してしまったりするので水の管理や植える場所には注意する必要があります。また、過湿状態が続くと根腐れや葉を腐らせる原因になるのでそちらも注意しましょう。
冬は地上部が枯れ球根の状態になります。枯れてきた地上部は地際で切っておきましょう。球根は掘り起こさず土の中で越冬させてください。
・秋海棠(シュウカイドウ)を育てる際の注意点
ここまでシュウカイドウのことを詳しく解説してきましたが、シュウカイドウを育てる上で特に気を付けなければならないことについて改めて解説します。
□水分を切らさないことが重要
シュウカイドウを育てる上ではとにかく適切な水管理が大切です。先述したように、シュウカイドウは乾燥が苦手で、水分を好みます。水切れには十分注意して管理することが重要です。過湿状態に陥らないように、適切に水分を与えましょう。
元々の管理場所を明るい半日陰や落葉樹の下などで管理することも水切れを起こさないためには重要です。
□注意すべき病気・害虫
■病気
シュウカイドウには特に注意すべき病気はありません。ただし、葉が良く茂るため、夏は通気性に気を付けて管理すると病気によりなりにくいです。
■害虫
シュウカイドウは害虫もつきづらい植物です。強いて被害をあげるならばナメクジによる食害とアザミウマによる害です。アザミウマは吸汁加害をし、葉に斑点などを生じさせることがあります。ウイルスも媒介してしまうことがあるので、見つけ次第駆除しましょう。
・【参考】秋海棠(シュウカイドウ)と文人
シュウカイドウはその素朴で繊細な姿が文人からも愛され、多くの俳句や歌にその名前が使われています。
有名な句では松尾芭蕉や正岡子規もシュウカイドウのことを詠んだ句を残しています。
秋海棠西瓜の色に咲きにけり 松尾芭蕉
臥して見る秋海棠の木末かな 正岡子規
西瓜のような赤色を表現した松尾芭蕉の感性も面白く感じますし、正岡子規は晩年の病床で自邸に咲くシュウカイドウの句をいくつも詠んでいます。控えめな姿ながらも多くの文人を魅了したシュウカイドウは時に愁いを帯びた美しい女性を表した言葉としても使われていたそうです。当時の文人たちを魅了するシュウカイドウにしかない深い魅力があったのでしょう。
・まとめ
みなさまここまでシュウカイドウについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?シュウカイドウを育ててみたいと思っている方の参考になれば嬉しいです。
大切なポイントをもう一度おさらいすると、
□シュウカイドウは乾燥が苦手で、水を好む
□半日陰の場所を好む
□増やす時はムカゴを播く
この点を覚えておくと、上手に育てることができますよ!みなさま是非シュウカイドウをご自宅で育ててみてくださいね。