黒花蝋梅(クロバナロウバイ)とは?特徴や種類、育て方を徹底解説!
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皆さまは黒花蝋梅(クロバナロウバイ)という植物をご存知でしょうか?ロウバイというと早春に咲く黄色い花を咲かせる樹木を思い浮かべる方も多いかと思いますが、こちらのクロバナロウバイはその名の通り花の色が濃い赤褐色で黒色に見えるのが特徴です。お茶花などにも使用され、良い芳香があることから人気の花木でもあります。
この記事では、クロバナロウバイに興味のある方や育ててみたいと考えている方の参考になるような特徴や育て方を解説していきます。
是非参考にしてくださいね。
・黒花蝋梅(クロバナロウバイ)の基本情報
学名/Calycanthus floridus var. floridus
英名/Carolina allspice
科名・属名/ロウバイ科クロバナロウバイ属
別名/ニオイロウバイ
原産地/北アメリカ
開花時期/5月~6月
・黒花蠟梅(クロバナロウバイ)の特徴
クロバナロウバイは北アメリカ原産のロウバイ科クロバナロウバイ属の濃い赤褐色のチョコレート色をした花が特徴的な落葉低木です。一般に知られる早春に黄色の花を咲かせるロウバイとは異なり、初夏にチョコレート色の花を咲かせ、花だけでなく葉や枝にまで芳香があるのが特徴です。耐寒性、耐暑性共に強く、樹高も0.5~1m程度のコンパクトに収まることからとても育てやすい低木として人気があります。秋には黄葉し、ロウバイと同じような実が出来ます。
とても似た姿をしている変種にアメリカロウバイという樹木がありますが、アメリカロウバイは花に香りがほとんどなく、クロバナロウバイに比べると大型です。葉の裏に毛が無いことで見分けることができます。園芸店ではアメリカロウバイもクロバナロウバイとして出回ることがありますので、見分けられると良いかもしれません。
□蝋梅(ロウバイ)との違いは?
蝋梅は中国原産の落葉低木です。早春のまだ寒い時期に春の先駆けとして黄色い花を咲かせます。クロバナロウバイよりも強い芳香があり、薄黄色の花びらは蝋がかかっているような透明感があり美しいのが特徴です。クロバナロウバイはクロバナロウバイ属なのですが、ロウバイはロウバイ属なので、種類も異なる植物同士です。非常に強い性質なので、あまり場所や土質を選ばずに育てることができるので人気の花木です。
□茶花としての黒花蝋梅(クロバナロウバイ)
クロバナロウバイは茶花としても重宝される花のひとつです。主に初夏の花として蕾の時期から使用されます。深いチョコレートのような赤褐色の花は渋く落ち着いた雰囲気があるので、花器との相性も良いです。
・黒花蠟梅(クロバナロウバイ)の主な種類
ここからはクロバナロウバイの仲間についてご紹介していきます。数種類紹介いたしますので、お好きな花を見つけてみてくださいね。
□アメリカロウバイ
よくクロバナロウバイとして出回っているのがアメリカロウバイです。こちらはクロバナロウバイの変種(Calycanthus floridus var. glaucus)で、姿もよく似ているのですが、全体的に大型で、葉の裏に毛が無く、また花の香りが弱いので見分けることができます。
□ナツロウバイ
ナツロウバイは中国原産の落葉低木です。こちらもロウバイと名がついていますが、一般的に思い浮かべる黄色いロウバイとは全く異なります。カップ状の白い花びらの中心に淡い黄色の花びらが重なっていきます。花は白く柔らかい清楚な印象があります。学者によってはナツロウバイ属かクロロウバイ属とで分類が分かれることもあります。
□ハートレッジ・ワイン
ハートレッジ・ワインはクロバナロウバイとナツロウバイの交配により生まれた新しい品種です。ワインレッドの花色とフルーツのような甘い香りが特徴です。花も大輪で、クロバナロウバイよりも樹高が高く生長します。
・黒花蝋梅(クロバナロウバイ)に適した栽培環境
クロバナロウバイは日なた~半日陰の風通しの良い場所を好みます。耐寒性、耐暑性どちらもあるので、いろんな場所で育てられます。土は腐植質に富んだ肥沃な土を好みます。水はけの良い土を好んでいますが、自生地がやや湿り気のある土地のため極端な乾燥は苦手です。なので土に適度な水もちがあると良いでしょう。
・黒花蝋梅(クロバナロウバイ)の育て方
ここからはクロバナロウバイの育て方について詳しく解説していきたいと思います。皆さまが疑問に感じる日常のお手入れや病害虫のことまで解説していきますので、是非参考にしてください。
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開花 |
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植付 |
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肥料 |
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挿木 |
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株分 |
□水やり
根付いてからは特に必要がありませんが、夏の時期の極端な乾燥を防ぐために朝か夕方の涼しい時間帯に水をあげるようにしましょう。植え付けたばかりの時はこまめに土の様子を確認し、表土が乾いているようなら水をあげるようにしてください。
□肥料
2月~3月の寒い季節に寒肥を与えると花付きがよくなります。緩効性の化成肥料や油かすなどの有機質の肥料を与えましょう。開花後の結実に必要な栄養が必要になるので、6月にお礼肥を与えるのも良いでしょう。基本的には肥料はほとんど必要ないので、それほど施肥をしなくても毎年花をつけてくれます。
□植え付け
植え付けは厳寒期を除いた生長の止まる休眠期に行うと良いです。落葉していれば11月、もしくは2月~3月の間に植え付けを行います。根鉢よりも2倍ほど深く掘り、腐葉土や完熟堆肥を混ぜ込み、栄養のある土づくりをしましょう。根の周りにしっかり土が入っていくように棒や手などで土を入れ込んでいきます。植え付け後はしかり水を与えて根と土が馴染むようにしていきましょう。水をあげて土のかさが減ってしまったら土を追加してください。
□剪定
クロロウバイは大きくなっても1m前後にしかならないので、こまめな剪定はする必要がありません。枝が混みあうような育ち方もしないので、枯れ枝があった場合に枯れ枝を除去する程度で良いでしょう。もし剪定をする場合は、休眠期にあたる冬~芽出しの季節の春2月~3月くらいまでの間に済ませましょう。
□夏越し・冬越し
クロロウバイは耐寒性に優れているので冬越しに関しては特に何もしなくても問題ありません。寒さには強いので北海道でも南部であれば外で地植え可能です。夏越しに関しては、極端な乾燥を避けるために、朝か夕方に水やりをしてくだされば問題ありません。様子を見ながら手入れをしていきましょう。
□病気・害虫
病害虫の発生はほとんど見られません。ですが、やはり生育環境によっては細菌が発生しやすかったり虫の好む木が近くにあったりするとクロバナロウバイにも影響がある可能性があるので、周囲の環境などには注意しておくと良いでしょう。
・黒花蝋梅(クロバナロウバイ)の増やし方
クロバナロウバイには増やし方がふたつあります。それは「株分け」と「挿し木」です。ここからはそのふたつの方法について解説していきますので、是非参考になさってください。
□株分け
株分けの適期はクロロウバイが活発になってくる3月頃が良いです。地中に地下茎を伸ばして生長していく植物ですので、新しく伸びた地表近くに伸びている吸根(地下の茎から出た根がついている枝)を掘り、切り分けて鉢などに植え付けて増やすのが最も簡単な方法です。株が横に広がっていかないように、樹形をコンパクトにするためにも行うと良いでしょう。
□挿し木
挿し木の適期は6月~7月です。その年に伸びた若芽を先端から5~10㎝ほど切って使います。切った挿し穂はすぐに水につけて水揚げを行います。挿し穂は1時間ほど水につけたあと、挿し木用に用意した土に挿します。この時は挿し木用の小さなポットに赤玉土や市販の培養土などの清潔な土を使うと良いでしょう。なるべく半日陰で管理し水はたっぷりとあげることを意識してください。
・まとめ
皆さまここまでクロバナロウバイについて解説してきましたが、いかがでしたか?クロバナロウバイを育ててみたいと感じて頂けたでしょうか?
クロバナロウバイを育てるポイントは
□日なた~半日陰の場所で栄養のある土で育てましょう
□夏場の極端な乾燥には弱いので水やりはたっぷりとしましょう
以上のことに注意して育てていけば、クロバナロウバイは非常に育てやすく美しい植物です。お茶花や花瓶に生ける枝ものとしても楽しめますし、良い香りで私たちの暮らしをより豊かにしてくれる植物です。みなさまも是非クロバナロウバイを育てて楽しんでくださいね。