竜胆(リンドウ)の育て方のポイントや注意点とは|花言葉や種類などあわせて紹介
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竜胆(リンドウ)というお花をみなさまはご存知でしょうか?竜胆(リンドウ)とは秋に紫色の花を咲かせる山野草です。小さく可愛らしい見た目から人気があり、園芸品種も多数存在しています。そんな人気の山野草を育ててみたいと思われている方もいるのではないでしょうか?そんなみなさまのためにこの記事ではリンドウの育て方を詳しく解説していきたいと思います。リンドウについての基礎知識から詳しい育て方まで沢山紹介していきますので、是非参考にしてください!
・竜胆(リンドウ)とは?
まずはリンドウとはどんな植物なのかご紹介いたします。名前の由来や花言葉まで詳しく解説していきます。
□リンドウの主な特徴
リンドウという花の名前をみなさまも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
リンドウは秋の山野草の代表的な品種のひとつです。日本では古くから親しまれ清少納言の「枕草子」にも記載があります。日本では約20種類が自生しており本州~九州まで幅広く分布し、姿を見ることができます。世界にはなんと400~500の品種があるそうです。
真っ青な花が特徴的なリンドウですが、実は花色も豊富です。真っ青なものから水色、紫、ピンクなど、品種によって色が違うので違う品種どうしを揃えると華やかになります。花の形も特徴的です。直径3~5㎝程度の釣鐘型で先が5つに分かれ筒状の形をしています。春にササに似た細い葉をつけ茎が伸び、夏にはその茎が次第に倒れていきます。そうすると秋、その先端に蕾をつけ花を咲かせます。蕾が渦巻き状になっているのも面白い姿です。
リンドウは小さく美しい花ですが、美しいだけでなく奥深い面白さがあるようです。
□リンドウの名前の由来
リンドウという名前は可愛らしい響きではあるのですが、漢字で書くと「竜胆」と書き、なんだか勇ましいですよね。それにはリンドウの根が漢方薬として使われていたことが由来しています。
リンドウの根は漢方として重宝されてきたものですが、とても苦く美味しくないものだそうです。とても苦い漢方のひとつに「熊胆(ゆうたん)」というものがあり、それに並ぶほど苦いところからこの漢字があてられたと言われています。「竜の胆ほども苦いから」という理由もあるそうです。
□リンドウの花言葉
リンドウは色ごとに異なる花言葉を持ちます。白のリンドウには「貞操」、紫のリンドウには「満ちた自信」などです。他にもさまざまあり、「悲しんでいるあなたを愛する」「誠実」「正義」「勝利」などがあります。一輪の花が咲く姿や漢方として病に打ち勝つそれぞれの様子からつけられた花言葉と言われています。
・リンドウの基本情報
ここからは竜胆(リンドウ)の基本情報をご紹介いたします。リンドウについての基礎知識はここを読んで参考にしてください。
□リンドウの情報
学名:Gentiana scabra Bunge
英名・和名:Gentian・りんどう・笑止草/疫病草(えやみくさ)
科名・属名:リンドウ科リンドウ属
原産地:日本(本州、九州、四国)、中国
園芸分類:山野草
形態:多年草
特性:落葉性
草丈・樹高:30~50㎝(品種によっては10~100㎝と幅がある)
花色:青、紫、青紫、水色、白、赤紫、ピンク
開花期:9月下旬~10月中旬(品種によっては9~11月頃)
耐暑性・耐寒性:ともに普通
□リンドウの種類
■日本の野山でみられる品種
オヤマリンドウ
亜高山から高山帯に自生するリンドウなので御山(オヤマ)リンドウと呼ばれます。花はあまり開かず、ほぼ閉じているような花姿です。茎の途中からも花が咲きます。葉もやや幅広く大きめな印象です。
エゾリンドウ
山地の日当たりの良い湿った草原に見られる大型のリンドウです。北海道にも自生していることから蝦夷の名がついています。天気が良いと花が開きます。茎の先端だけでなく、葉の付け根から数段にわたって花を付けます。
■園芸品種
ササリンドウ
笹に似ている葉をもつことからササリンドウと呼ばれるようになった品種です。鮮やかな青紫色の花が印象的で、育てやすく背丈も高くなるので晩秋を彩る茶花や切り花に向いています。源氏の家紋として有名ですよね。
アサマリンドウ
朝熊リンドウは三重県の朝熊山で発見されたことからそう呼ばれるようになりました。通常のリンドウよりも小型の品種です。紀伊半島と四国の一部にしか自生を確認されておらず、霧のかかる地域に限って生育できるなど、生育条件が限られており希少な品種です。他のリンドウとは異なり葉に光沢があり鋸歯が波打って見えます。
・リンドウの育て方カレンダー
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種まき |
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植え付け |
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植え替え |
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剪定 |
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肥料 |
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開花 |
・竜胆(リンドウ)を育てる際の注意点
ここからは具体的にリンドウを育てる際に注意すべき点について解説していきます。下記の注意点を参考に是非みなさまもリンドウを育ててみてくださいね。
□直射日光、肥料不足、水不足に注意する
暖かい日当たりのある環境が適していますが、夏場の直射日光や暑さは苦手です。寒冷紗で遮光できる場合はしてあげるのが良いでしょう。もしくは明るい日陰に植栽してあげると葉焼けなどを起こさないです。
リンドウは栄養が足りなくなってくると、葉が黄色に変色してくるのですぐに分かります。肥料を好む性質にあるので、植え付け時に元肥となる緩効性化成肥料を与えます。月2回程度液体肥料を与えるか、春と秋に緩効性化成肥料を与えましょう。
リンドウは根の乾燥を嫌い、水が切れるとすぐに葉が傷んでしまいます。土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしてあげてください。乾燥しすぎてしまうと中々葉の調子が元気にならなくなってしまいますので注意が必要です。乾燥が苦手ですが、常に湿らせておくと根腐れを起こしてしまいますので、土が乾いていたら水をあげるという習慣に気を付けてください。
以上の点に注意すれば元気に美しく育つ植物です。育てる際に難しい技法が必要なわけではありませんので、是非育ててみてくださいね。
□病気、害虫に注意する
■病気
葉が委縮したり、茎や葉が曲がっていたら病気の可能性が高いです。葉焼けや多湿による株や根の腐敗も注意が必要です。葉の上部から斑点ができ枯れてくる葉枯れ病やえそ萎縮病、さび病には注意しましょう。病気になった葉はすぐに切り落として処分してください。殺菌剤などでは防ぎきれないので、風通しをよくすることも大切です。
■害虫
リンドウつく害虫の中で一番厄介なものはアブラムシです。一度ついてしまうと急速な劣化につながってしまいます。新芽や葉茎から吸汁し弱らせてしまいます。見つけた場合はすぐに取り除きましょう。殺虫剤で駆除するのも方法のひとつです。太陽光が苦手なので込み合った場所で管理しないようにしましょう。
またバッタやナメクジ、イモムシなどの食害にも気を付けましょう。ネコブセンチュウにかかると根がこぶ状に膨らみ生育が衰えます。花が咲かない原因のひとつですので、ネコブセンチュウにかかってしまった場合は土中に殺虫剤を散布して、土も変えるのが良いでしょう。
害虫はいつのまにか付いていることがほとんどですので、気が付いたらリンドウを観察してあげてくださいね。
・リンドウ(竜胆)の育て方のポイント
ここからはリンドウを育てるためのポイントを解説していきます。水やりや土の選び方など、ぜひ参考にしてみてくださいね。
□花や葉の管理の特徴
リンドウは先述した通り品種が豊富です。そのため、花や葉の形はさまざまなものがあります。開花時期も品種によって少しずつ異なりますので、品種ごとの特徴を捉えておくことも大切です。日が当たっている時にしか咲かないので、曇りや雨の日は花が閉じてしまうことも覚えておくと、元気が無いのか天気によるものなのか見分けることができます。
古葉や咲き終わった花がらは摘み取ります。種を取る場合は花をそのまま残しておきますが、種をつくることに力を注ぐので元気がなくなっていきますので、種を採らない場合は花をすぐ摘み取ってください。
□選び方
リンドウを育て始める際には、どんな苗を選べば良いでしょうか。リンドウは種から栽培もできますが、花をつけるようになるまで数年かかるため、苗から育てることをおすすめします。葉がよく茂り緑色が艶やかな元気な苗を選びましょう。
□日当たり(置き場所)
リンドウは日なたを好む性質ですが、暑さに弱いので、春と秋はあたたかい日差しの入る場所で育ててあげるとよく育ちます。日光が不足してしまうと徒長して間延びした株に成長してしまうので注意しましょう。ですが、暑さに弱く直射日光に当ててしまうと葉が萎れたりしてしまうので夏場の日光の加減は調整していきましょう。地植えなどで場所を動かせない場合は寒冷紗などで日光の調節をしてあげるのも良いでしょう。
冬は凍結して根を傷めてしまわないように、鉢植えでしたら軒下に移動し、地植えでしたらマルチングなどをして霜があたらないようにしましょう。
□用土
リンドウは水もちと水はけ両方が備わっている土を好みます。ですので、用土は栄養分豊かで、水もち、水はけの良い酸性のものを選びましょう。山野草用の培養土などで育てることもできます。赤玉土や鹿沼土や腐葉土などを配合して用土をつくることが可能です。6(赤玉土):4(鹿沼土)、7:3くらいの配合が適しています。
□肥料のタイミング
先述した通り、リンドウは肥料を好む植物です。肥料不足になってしまうと、すぐに葉が黄色くなってしまうので肥料を与えるタイミングには注意してください。
植え付け時には元肥として、少量の緩効性肥料を与えましょう。春と秋(4-6月、9-10月)頃に置き肥を行うか、月に2回程度希釈した液体肥料を与えるようにいたしましょう。真夏の暑い時期に肥料を与えると根を傷める可能性があるので、夏の時期もタイミングには注意しましょう。
□水やりのポイントとタイミング
先述した通り、リンドウは水切れを起こすと葉が傷んで弱ってしまうため水やりのタイミングも重要です。
根の乾燥を嫌うので基本的には1日1回程度水やりをする必要があります。ただし、ずっと湿っている状態を保てば良いというわけではなく、多湿状態による根腐れを起こさないようにする必要もあります。土の表面が乾いていることを確認したら水やりを行うということがポイントです。常に湿らせている状態ではなく、メリハリのある水やりを心がけましょう。真夏は特に乾燥しやすいので、注意して水やりをしましょう。夕方の時間帯にたっぷりと水やりをするのがおすすめです。また春秋の生長期には沢山水分を吸い上げるので朝にたっぷりと水やりをしてあげましょう。花の中に水が入るとそれが原因で腐ってしまうこともあるので、なるべく株元に注ぐようにして水やりをすることもおすすめです。
□夏の暑さ、冬の寒さ対策
夏は直射日光や暑さを和らげる対策が必要です。鉢植え、地植え共に直射日光を当てないように、鉢を日陰に移動させたり寒冷紗で日光を遮ってあげると良いでしょう。冬は霜や凍結、冷風に注意が必要です。霜の降りない軒下や棚の下に鉢を移動させたり、地植えの場合もマルチングなどをして寒さを和らげてあげましょう。宿根草のため、冬は地上部がありませんが、しっかり冬越しすることが出来れば翌年の春に再びリンドウは芽をだしてくれます。品種によっては常緑のまま冬を越すものもありますが、寒さ対策は同じです。
□増やし方
■挿し芽
5~6月に挿し芽によって増やすことができます。この時期を過ぎるとその年の花は咲きますが翌年からの花芽がつかないことがあります。茎の先端から10㎝程度切り取り、鹿沼土の鉢植えに挿して日陰で管理します。1か月程度で発根し始めるので、ある程度しっかりと土に根が張ってきたら鉢か地面に移しましょう。挿し芽は摘心した勢いのあるものを使うとより挿し芽がうまくいきます。摘芯については後述するのでそちらもご覧ください。
■株分け
リンドウは株分けでも増やすことができます。株分けの適期としては3~4月の芽出しの時期です。株を掘り上げて根を傷めないように、土を軽くほぐして生育の悪い根は取ってしまいます。根の剪定が終わったら丁寧に手で株を割いていきましょう。根を掘り取る前に古い葉や傷んでいる部分を予め剪定しておくことでより元気な芽がでやすくなります。
□種の採取、種まきのタイミングと方法
リンドウは種を採取して翌年に播種して育てることもできます。花がらを取らずにそのままにしておくと種が出来ますのでその種を採取してください。
さや状の実が黄色~茶色に変化してくると実が割れ中に種ができています。採取してすぐに播く取り播きを行うか、保存して3月~4月頃に播くかしていきます。
種を播く場合は育苗ポットに数粒ずつ播くのが良いです。また種を播く用土は細かい粒のものが良く、赤玉土やピートモスなどを混ぜて用土をつくっても良いですし、園芸用の培養土でも良いでしょう。土が乾燥しないように水やりを欠かさず行うと、1~2か月後に発芽してきます。本葉が4~6枚になったら鉢か地面に移し替えましょう。
他に注意する点は、リンドウの種は非常に小さな種なので採取する際に零さないよう、ビニールなどで覆ってから採取するようにすると綺麗に種が採取できます。
□花がら摘み、剪定(摘心)のタイミング
先述した通り、種まきをすることを考えているならばリンドウの花がらはそのまま残しておくのが良いですが、種を採らない場合は花がらはすぐに摘み取ってしまいましょう。種をつくることに力を使ってしまい株が弱ってしまいます。
花が枯れて萎れてきたら花茎から抜き取ると簡単に花がらを取ることができます。茶色く変色してくる前に花がらは摘み取るのが良いです。
また、摘心をすることで花数を増やすこともできます。5月頃に芽の付いた先端の方を剪定し、脇芽を増やす方法があります。ただし、時期が遅いと花芽を付けなかったり、品種によっては脇芽が出来づらかったりするので、育てている品種は脇芽ができるのか確認してから剪定するようにしましょう。
草丈を伸ばしたくない場合も、5~6月頃に葉を4~5枚程度残して芽の先端から剪定すると脇芽が増え横に広がるような草姿になります。
枯れ葉や傷んだ茎は気が付いたら取り除くようにしましょう。
□植え付けのタイミングと方法
リンドウの植え付けは主に芽が活発に動き出す3~4月頃が良いでしょう。
地植えにする場合は根鉢よりも1~2回り程度大きな穴を掘って植え付けます。植え付け後はたっぷりと水やりをして完了です。鉢植えにする場合は根鉢よりもおおよそ一回り以上大きな鉢に植え付けます。地植えにする場合も鉢植えにする場合も先述した日当たりや風通しの良い場所を選んで管理できるようにすることが大切です。
植え付け時には根鉢の土はふるい落とさずにそのまま土ごと植え付けてあげてください。
□植え替えのタイミング
リンドウは肥料を好むことからも分かるように土中の栄養の吸収が早く、すぐに栄養不足を起こしやすい植物です。鉢植えの場合はこまめに植え替えを行うことで株が弱るのを防ぐことができます。毎年もしくは少なくとも2年に1回は植え替えを行ってください。植え付け同様芽出しの時期の3~4月が適期です。植え替え後は日光に当てずに日陰で1週間から10日程度養生し、株が安定してきたら元の場所に戻します。
・まとめ
ここまでリンドウについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
リンドウを育てるには、
・植える場所、置く場所の日当たりを良く選ぶ
・水やりのタイミングに気を付ける
この2点がとても大切なポイントです。
今回解説してきたポイントをしっかり踏まえてリンドウを育てていけば、美しく秋を彩ってくれることでしょう。皆様も是非リンドウを育ててみてくださいね。