春の山野草【8選】特徴や育て方やポイントは? 季節ごとの花・山野草の魅力も解説

山野草とは高山や里山に自生する草花のことをさし、最近では鉢植えやお庭の植物、そしてお茶花として多様な楽しみ方があります。

本記事では山野草を育ててみたい人に向けて、山野草の魅力や楽しみ方、また季節ごとの代表的な山野草をご紹介していきます。本記事では特に育てやすい春の山野草8種類について解説しておりますので、是非ご参考にしてください。


・山野草とは?

日本には豊かな自然と四季があり、その季節の訪れを告げる草花がたくさんあります。

この草花を山野草(さんやそう)とよび、高山や里山に自生する草本および低木のことをさします。山野草とよばれる多くの草花は、一般的な園芸店や花屋で見かけることはあまりありません。華美な園芸品種の草花とは違い、山野草は繊細で可憐な姿をしているのが特徴です。自然な素朴さが魅力でもあります。草や花は四季を通して変化し、春には若葉が萌ゆり、花が盛り、そして実り、冬には葉が落ちる。そんな季節の移ろいを、私たちに気付かせてくれるのが山野草です。


・春夏秋冬の代表的な山野草は?

ここからは季節ごとの代表的な山野草を順番にご紹介していきます。あなたにぴったりの山野草が見つかるかもしれません。



・春の代表的な山野草一覧

以下の山野草は春を代表する山野草です。本記事ではこれらの植物について解説をしていきます。これから暖かくなる時期の草花たちは可憐な姿をしていますね。

サクラソウ

スミレ

カタクリ

ミスミソウ

エビネ

ケマンソウ

タツナミソウ

ハナニラ


・夏の代表的な山野草一覧

以下の山野草は夏を代表する山野草です。日本の夏を涼やかに彩る植物たちです。

ホタルブクロ

アカネ

アザミ

ヤグルマソウ

ナデシコ

ベニバナイチゴ

ユウガギク

オトギリソウ

サギソウ

ギボウシ


・秋の代表的な山野草一覧

以下の山野草は秋を代表する山野草です。涼しくなってきた頃に静かに咲いている清楚な印象の山野草たちです。

リンドウ

ホトトギス

ダイモンジソウ

オミナエシ

オトコエシ

シュウメイギク

ツワブキ

オケラ

フジバカマ

イワギキョウ


・冬の代表的な山野草一覧

以下の山野草は冬を代表する山野草です。厳しい寒さの中でも健気に咲く姿が美しい山野草たちです。

フクジュソウ

ニホンスイセン

カンアオイ

バイカオウレン

ミツバ

カシワバハグマ

セリバオウレン

カンツバキ

マンリョウ

キンセンカ


・育てやすい春の山野草【8選】

季節ごとの山野草をご紹介しましたが、以下からは春に咲く山野草をもっと詳しく解説していこうと思います。山野草の特徴や育て方のポイントをご紹介いたしますので、是非参考になさってください。


サクラソウ

□基本情報

科/属 サクラソウ科/サクラソウ属

開花期 4月~5月

原産地 シベリア東部~中国東北部、朝鮮半島、日本列島


□特徴/育て方のポイント

サクラソウは湿り気のある場所を好み、湿り気のある半日陰や落葉樹の下に適しています。

しかし高温多湿と乾燥には弱いので、散水をする時間帯は早朝や夕方にする必要があります。水切れには注意し、蒸れは起こさないようにしましょう。夏には休眠して地上部が無くなりますが、根は生きていますので水やりなどは欠かさず行います。

肥料は春先の開花前に腐葉土や草花用の液体肥料などをあげると良いです。


スミレ

□基本情報

科/属 スミレ科/スミレ属

開花期 3月~5月

原産地 日本、中国、朝鮮半島など


□特徴/育て方のポイント

スミレは日本原産の植物でもあるので、日本の気候に馴染みやすく育てやすい植物です。スミレは日当たりの良い環境を好みますが、過度な高温多湿と直射日光は好みません。直射日光は葉焼けの原因になりますので、半日陰になる落葉樹の下などが栽培場所に適しています。水やりは表土が乾いたらたっぷりと、庭植えの場合は根付いたら特にこまめにする必要はありません。

肥料は御礼肥として5月~6月頃に緩効性肥料を与えると良いです。


カタクリ

□基本情報

科/属 ユリ科/カタクリ属

開花期 3月~4月

原産地 日本、東アジア


□特徴/育て方のポイント

日なたを好みますので、日なた~半日陰の肥沃な土壌で育てましょう。腐葉土や有機質な土が適しています。春の早い時期に地上部を枯らし、休眠体制に入りますが、球根は生きていますので適度な水やりを忘れずにしましょう。過度な湿潤は良くないですが、常に土に潤いがある程度を保てると良いです。

ナメクジの食害に被害にあうことがありますので、ナメクジを見かけたらすぐに駆除するのが良いです。


ミスミソウ

□基本情報

科/属 キンポウゲ科/ミスミソウ属

開花期 2月上旬~4月

原産地 日本の北陸地方、東北地方の日本海側


□特徴/育て方のポイント

ミスミソウは直射日光に当たると葉が傷んでしまいますので、なるべく明るい日陰や落葉樹の下に植栽するのが良いです。風通しの良い場所で管理し、水はけの良い土壌にしてあげましょう。水やりは表土が乾いたのを確認してから行います。過湿を嫌うので、注意しましょう。花がらや枯れた葉をすぐに除去することで、病害虫を防ぐことができます。さび病やカビが発生しやすいので注意しましょう。


エビネ

□基本情報

科/属 ラン科/エビネ属

開花期 4月~5月

原産地 日本、朝鮮半島南部、中国東部から南部


□特徴/育て方のポイント

エビネは乾燥に弱いため、水やりには注意が必要です。冬場でも乾燥しますので、日中に水をあげましょう。強い風の当たらない半日陰~日陰で育てます。

土は水はけの良いものを使います。鉢植えの場合はパーライトを底に敷き、赤玉土や腐葉土を混ぜ込んだものに植えていきます。その際に緩効性の置き肥をしておくと良いです。

エビネはウイルス性の病気にかかりやすく、かかってしまうと治すことは出来ません。斑点が葉に出たら他に広がらないようにその部分を処分してください。ウイルスを媒介するアブラムシも見つけ次第駆除しましょう。


ケマンソウ

□基本情報

科/属 ケシ科/ケマンソウ属

開花期 4月~6月

原産地 朝鮮半島・中国


□特徴/育て方のポイント

直射日光に当たらないように、日中明るい日陰になる場所で栽培します。やや湿った落葉樹の下は最適です。腐植質のある水はけの良い土が好きなので、基本の赤玉土7:腐葉土3の配合土で良く育ちます。

水やりは表土が乾いたらたっぷりあげます。冬も乾かさないように注意しましょう。

病気は特にありませんが、アブラムシやヨトウムシによる食害があり、新芽や蕾を狙うので、早めの駆除や予防が大切です。


タツナミソウ

□基本情報

科/属 シソ科/タツナミソウ属

開花期 4月~5月

原産地 東アジア諸国


□特徴/育て方のポイント

タツナミソウは栽培場所を限りませんが、日なた~半日陰の風通しの良い場所で育てるのが適しています。湿り気よりも少し乾燥気味の土地を好み、土質を選り好みしません。地植えをしている場合は頻繁に水やりをしなくても良いでしょう。花後に御礼肥を与えると株が元気になります。

病気や害虫の被害はほとんどありません。元々さまざまな環境で生育できるため、比較的初心者でも育てやすく、多くの手がかかりません。

ハナニラ

□基本情報

科/属 ネギ科/ハナニラ属

開花期 3月~4月

原産地 南アメリカ


□特徴/育て方のポイント

水はけの良い日なた~半日陰の場所で栽培しましょう。乾燥にも強いので、屋外の場合は雨水だけでも育ちますが、過度な乾燥をしている場合は水をあげましょう。夏場は休眠するので、水やりはせずに手入れをしなくても良いです。

元肥として緩効性の化成肥料を施せば、追肥をしなくても大丈夫です。基本的には手をかけずに育つことができる丈夫で強い種です。植えつけたら年々増えていくので、分球して増やす場合は秋に行いましょう。


・山野草の魅力とは?

こちらで8種類の山野草を解説しましたが、皆様いかがでしたでしょうか?山野草の世界はまだまだ奥が深いです。以下からはそんな山野草の魅力についてご紹介させて頂きます。


・自然のままの美しさがある

山野草には花屋に並ぶ切り花や園芸品種の草花とは違った趣があります。野に生えているそのままの姿、四季折々の植物の佇まいが、山野草を見ていると思い起こされます。自然の風景を小さな植物の中に見ることが出来るのです。


・宿根草、多年草が多い

宿根草や多年草が多く、一年でその植物が枯れてしまうことがありません。宿根草、多年草は年を跨いで育てることのできる植物のことを指します。春の植物はまた次の年の春に花が咲く姿を見ることが出来ますので、育てる喜びが大きくなっていきます。花が枯れた後の植え替えなどの手間が少ないこともメリットです。


・寒さに強い

高地や寒冷地に自生している種類も多いので、寒さに強い品種が多いので冬場のお手入れが比較的易しいです。花の少ない冬にも可憐な花を咲かせてくれるものも多数あります。その逆で、暑さや直射日光、また湿度に弱い品種もあるので育てる山野草の情報はチェックしておきましょう。



・山野草にはさまざまな楽しみ方がある

山野草はさまざまなシーンで楽しむことのできる植物です。以下では楽しみ方をいくつかのシーンに分けてご紹介いたします。


・茶花

山野草はお茶花として楽しむことができます。茶花とはお茶室の床に生ける花のことを言います。千利休の有名な言葉で「花は野にあるように」という教えがあります。まさに山野草の佇まいは自然に生えたその姿のままです。季節の移ろいを大切にするお茶の世界では季節の植物を生けることで、時間やその風情、命の尊さなどを感じることが出来るのです。お茶の世界には山野草が欠かせません。


・庭植え

山野草は庭に植えて楽しむことができます。実際に自然の風景を再現し、里山や草原の風景をつくることができます。その植物の自生地に似た環境を整えることで生き生きとした姿を見ることが出来、季節が巡っても成長を続けるのでお庭の季節の流れを楽しむことができます。


・盆栽、苔玉

山野草は盆栽や苔玉にするのに適しています。盆鉢の中で自然の風景を仕立てていく盆栽では、山野草の素朴な姿がよく合います。苔の滋味溢れる雰囲気にもよくマッチして可愛らしい苔玉が作りやすいのも良い点です。山野草自体が素朴で楚々とした雰囲気のものが多いので、器やお皿をこだわって選ぶのも楽しみ方の一つです。

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