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日本水仙(ニホンスイセン)とは|特徴やスイセンの種類、育てるポイントを解説

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みなさまは日本水仙(ニホンスイセン)という花はご存知でしょうか?スイセンは冬~春のまだ肌寒い季節に先駆けて咲く可憐な花ですね。お庭は勿論のこと道端などでも見ることのある私たちにとってはとても身近な植物です。スイセンは種類もたいへん豊富な植物ですが、今回こちらの記事ではニホンスイセンを中心に解説していこうと思います。これから育ててみたいと考えている方やニホンスイセンについてもっと知りたいと考えている方は是非この記事を参考にしてみてください。


・水仙(スイセン)とは

スイセンはヒガンバナ科スイセン属の球根植物です。スイセンは早春の肌寒い季節に花を咲かせ、すっと伸びた茎の凛とした立ち姿や俯いたような花が儚く魅力的な植物です。

スイセンは元々イベリア半島を中心に地中海沿岸域に自生し、25~35種が自生しています。古くは紀元前800年前から人々とのかかわりがあった花であり、ホメロス(古代ギリシャの詩人)により詩に詠まれていました。改良の歴史は100年を超え、RHS(英国王立園芸協会)には1万種を超す品種が登録されており花色や草姿などを分けて12系統に分類されています。実際には2万種を超える品種があると言われています。代表的な品種にはラッパスイセン、八重咲スイセン、房咲スイセン、口紅スイセンなどがあります。花色は白や黄色をメインとし、花色が豊富なわけではないのですが、草姿や花姿がそれぞれ異なるのでとても多彩な趣があります。


□水仙(スイセン)の名前の由来

水仙(スイセン)という美しい名前には一体どのような由来があるのでしょうか?

スイセンの学名は「Narcissus tazetta L.」といいます。こちらのナルキッソス(Narcissus)という学名の由来には、ギリシャ神話の伝説が関係しています。ナルキッソスとはナルシシズムの語源となったギリシャ神話に登場する美少年のことです。ナルキッソスの神話の中に次のようなものがあります。ナルキッソスは泉に写った自分自身の姿に恋をし、そのまま水の中の自分に目が釘付けになり、その場で動けなくなってやせ細って死んでしまったというものです。または水面に写った自分に口づけをしようとして泉に落ちて死んでしまったというものもあります。その彼が死んでしまったあと泉に生えてきたのがスイセンの花だったというのです。俯いたように見える下向きの花は、ナルキッソスが泉を覗き込む姿にも似ているため、この学名がつきました。

また日本語名のスイセンは違う由来があります。古来中国では水辺に生息する植物を清らかなものとし「水の仙人」と呼んでいたと言われています。湿った場所を好むスイセンは、その美しい花と芳香がまるで「仙人」のようだと言われ「水仙」と名付けられました。


・日本水仙(ニホンスイセン)の特徴

ニホンスイセンはヒガンバナ科スイセン属の、日本では古くから親しまれてきた房咲き系スイセンです。一本の茎に芳香のある花を房のようにつけるのが特徴です。副冠(花の中心の部分)は黄色ですが、他の花弁は白色です。原産の地中海沿岸部から平安時代末期に中国を経て伝来されたといわれ、本州の関東地方以西、四国、九州の海岸では野生化し群生地では美しい景観をつくりあげています。

開花期は12月~4月までと言われ、寒い季節から暖かくなるまで長く花を楽しむことが出来ます。暖かい地方でしたら年内に開花します。特に気温の低い季節に咲いた花は長持ちすると言われています。草丈は20㎝~40㎝程度です。


・日本水仙(ニホンスイセン)の花言葉

ニホンスイセンにはどのような花言葉があるのでしょうか?

ニホンスイセンの花言葉には「自惚れ」「自己愛」「報われない恋」というものがあります。これらのものは「水仙の名前の由来」の項で先述したようにギリシャ神話のナルキッソスの伝説から来ていると思われます。泉に写った自分の姿に恋をしたナルキッソスの恋は報われず、自分への愛だけがそこにあるのでしょう。

スイセンは花の色ごとにも花言葉があるとされ、ニホンスイセンは白色なので「神秘」「尊敬」という花言葉もあります。花言葉を付けた人は、寒い季節から咲く凛とした美しい姿に神秘的な思いを抱いていたのかもしれません。


・日本水仙(ニホンスイセン)を育てる環境・ポイント

ここからはニホンスイセンの育てる環境や知っておきたいポイントについて詳しく解説していきます。これからニホンスイセンを育ててみようとお考えの皆さまは是非参考になさってください。


□日当たり・置く場所

ニホンスイセンは日当たりと風通しの良い場所で育てるのが良いでしょう。日当たりの良い場所ですと、球根がよく育つので花付きが良くなります。また水はけが悪い場所ですと根腐れを引き起こしやすくなりますので注意が必要です。地植えでも鉢植えでも育てることができますが、暑さにはあまり強くないので落葉樹の下などの木陰に植えると良いでしょう。鉢植えの場合は、夏場は日陰に移動させると良いです。ニホンスイセンの性質として寒さに十分当たらないと開花しないという性質がありますので、もし鉢植えを室内に置いている場合、冬は十分な寒さに当てるよう戸外に移動させましょう。


□水やり

地植えの場合、水やりは降雨のみでも大丈夫です。ただ、雨が何日も降らずに土が乾燥している場合や植え付け直後などは朝方に水やりをすると良いでしょう。

鉢植えの場合は、土の表面が乾燥していたら鉢から染み出すくらい水やりをしましょう。先述したように水はけが悪い場所ですと根腐れを起こしやすくなりますので、水の管理には注意しましょう。冬は水やりをあまりしなくても良いですが、冬の間にも生育し続けるので、土壌が乾燥している場合は冬でも水やりをしてください。


□肥料

植え付け時の用土に予め緩効性肥料を元肥として混ぜ込んでおきましょう。発芽したらリン酸分の多い肥料を施しましょう。窒素分が多いと球根自体は大きくなりやすいのですが、腐りやすくなったり花付きが悪くなったりすることがあるので注意しましょう。


□用土

ニホンスイセンは水はけが良く腐植質で肥沃な土壌を好みます。腐葉土や赤玉土をブレンドしたものが適しています。市販の草花培養土を使用しても良いでしょう。根腐れを起こさないように、水はけが悪いようでしたら上記のような土に変えてください。


・日本水仙(ニホンスイセン)の育て方

ここからはニホンスイセンの更に詳細な育て方について解説していきます。植え付け方や花が咲いた後の手入れ方法などもご紹介していきますので、是非参考になさってください。


□植え付け

ニホンスイセンの植え付け適期は9月~10月と言われています。ニホンスイセンは他のスイセンよりも花芽をつけるのが早いので年内には咲き始めます。あまり適期を過ぎた植え付けをしないようにしましょう。地植えの場合は、球根の2倍の大きさの穴を掘り球根を植え付けていきましょう。その際に元肥をしておきこともお忘れなく。密植すると球根が生長しにくくなりますので、適度な株間にしましょう。

鉢植えの場合は、鉢底ネットを入れ鉢底石を敷きます。鉢に土と元肥を入れたら球根を植え付けます。

地植えでも鉢植えでも植え付け後は水やりをたっぷりすることを忘れないようにしましょう。


□植え替え

ニホンスイセンは植え付け後、3年~4年は植え替えが必要ありません。ただそれ以上放置してしまうと、球根と葉が混みあってきますので日光不足を引き起こしたり、球根の育ちを悪くさせ花付きが悪くなりますので、葉が混みあってきたり花付きが悪くなってきたりしたら、植替えの合図です。

葉が萎れてきて休眠期に入ってきましたら、球根を掘り上げてネットに入れて陰干し保存します。その後その保存した球根を植え付けの季節に植え付けていきましょう。


□花が咲いた後のお手入れ方法

ニホンスイセンは花が咲き終わったら、花柄を根元から切って花殻を摘みましょう。ちなみに、ニホンスイセンは結実しませんが、他のスイセンは種を付けるものもありますので、他の品種を育てている場合は早めに花殻摘みをしましょう。花殻摘みの際に葉っぱは残して花柄だけを切る必要があります。光合成を行ない翌年の養分を蓄えなければなりませんので花柄と一緒に葉を切らないようにしてください。葉をカットする場合は夏の休眠期に入ってからにしましょう。


□日本水仙(ニホンスイセン)の増やし方

ニホンスイセンは分球で増えていきます。夏の休眠期に球根を掘り上げた際に、球根が分れていたら手で割って分けておきましょう。分球で増えた球根は充実するまでに数年かかり、最初のうちは花が咲かないこともありますが、球根が大きくなれば花が咲いてきますので根気よく育てるのが重要です。


□注意すべき病害虫

ニホンスイセンは軟腐病やモザイク病といった病気にかかることがあります。

軟腐病が発病すると、1週間ほどで枯れてしまい、薬剤などでの防除は不可能になります。高温多湿の風通しの悪い環境で発生しやすく、株の根元から変色し腐敗・枯れていく病気です。葉の調整をして風通しを良くしておくことで防ぐことができます。

4月頃に花にアブラムシがつき、吸汁の被害に遭う他、アブラムシを媒介してモザイク病という病気にかかってしまうことがあります。モザイク病にかかってしまうと薬剤での防除は不可能ですので、アブラムシを発見し次第すぐに殺虫剤などで対処していきましょう。


・さまざまな水仙(スイセン)の種類

これまではニホンスイセンの育て方についてご紹介してきましたが、ここからはスイセンにはどのような品種があるのか少し紹介していこうと思います。ニホンスイセン以外でも気になる品種がありましたら是非育ててみてくださいね。


□黄房水仙(キブサスイセン)

キブサスイセンはニホンスイセンに似た房咲きのスイセンです。花色は黄色とオレンジ色で上品な芳香があります。ニホンスイセンよりも遅くに開花し、2月~3月頃が花の季節です。ニホンスイセンは白色ですが、色が異なっているだけで姿形はとても良く似ているのが特徴です。

大正時代に日本に渡来してきたとされ、原産国はスペインやフランスです。


□ナルキッソス・バルボコディウム

ナルキッソス・バルボコディウムは小型原種スイセンの代表的な種類で、ヨーロッパ南西部や北アフリカに分布しています。別名はペチコートスイセンとも呼ばれ、その名の通りペチコートに似た花姿で可愛らしい雰囲気が人気の品種です。開花期は1月~4月上旬で、20㎝程度の草丈になります。皆さまの思い浮かべるスイセンとは姿が異なるかもしれませんが、また違った可愛さがありますよ。


□テートテート

テートテートはミニ水仙とも呼ばれ、小型で可愛らしい品種です。房咲きとは異なりキクラミネウス系という系統で1つの茎に1つの花をつけるのが特徴です。開花期は12月~3月頃で、開花期はニホンスイセンと被ります。ですが、ニホンスイセンのような芳香はありません。

名前である「テート(tate)」とは、古いフランス語で「頭」という意味があり、群生している様子が頭を寄せ合って咲いているように見えることから名づけられました。


□リプリート

リプリートは遅咲きの大輪八重咲きの品種で草丈は40㎝程度まで生長します。開花期は3月~4月です。とても可憐な花姿で副冠(花の中心の部分)が咲き進むにつれ橙色~サーモンピンクに変化していく美しいスイセンです。芳香も楽しむことができます。大輪品種なので、花の直径は10㎝ほどにもなり、とても豪華で切り花などでも好まれます。


□ピンク・パラソル

ピンク・パラソルはラッパ咲き系の人気の桃花品種で、副冠がサーモンピンク色をし、フリルのように波打っています。開花期は4月頃と遅咲きの品種です。草丈は40㎝程度まで生長します。

周りの花色は白色なので、中心のピンクがより引き立ちとてもエレガントな品種です。個体によっては桃色ではなく、オレンジ色に近い色になる場合もあります。


□マウント・フット

マウント・フットはラッパ咲き系の品種で、開花期は3月~4月頃の遅咲きのスイセンです。草丈は45㎝ほどまで生長します。副冠の色は咲き始め当初は薄い黄色なのですが、徐々に純白に変化していきます。フリルのように波打つ副冠が純白に変化していくのがとても清廉で美しい品種です。


□キングアルフレッド

キングアルフレッドはラッパ咲き系の品種で、開花期は3月~5月と遅咲きのスイセンです。一際目を惹く真っ黄色な花が特徴です。性質は丈夫でよく咲き、ラッパスイセンの中でなら最もポピュラーな品種と言っても過言ではないでしょう。大きな副冠が立派で「キング」と名前が付いていることも頷けます。


・まとめ

ここまでニホンスイセンについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたか?ご自分のお庭でも育ててみようと思った方もいるのではないでしょうか?

ニホンスイセンを育てる際は下記のポイントに気を付けましょう。

□日当たりと風通しの良い場所で育て、根腐れを起こさないように水はけに注意する。

□植え付けは9月~10月に行いましょう。あまり遅くなると球根が十分に育たず花付きが悪くなります。

上記に気を付ければ、ニホンスイセンは基本的には丈夫で育てやすい品種です。寒い季節、春に先駆けて咲く美しい花の姿を皆さまもお楽しみくださいね。

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